高速バス、3列シートと4列シートの違いは?
高速バスを選ぶときに気を付けたいのは、どんな座席か、どの程度快適なのか、ということでしょう。
基本的な分類として、3列シートと4列シートがあります。さらに、シートピッチや車内設備によって、グレードは細かく分かれていることもあります。ごく一部ですが、2列シートや個室タイプのシートもあります。
高速バスの快適さは座席グレードによって変わってきますので、チケットを予約する前によく確認しましょう。
3列と4列の違い
まずは、3列シートと4列シートの違いを簡単にまとめておきましょう。各座席の詳しい説明は下のほうを読んでください。
- 4列シートは「運」。隣にどんな人が来るかで快適さがまるで違う。
- 4列シートでは好きな座席を指定できないこともある。
- 4列シートは狭すぎて、熟睡するのは無理。寝ない覚悟で乗車を。
- 4列シートでも、補助席の有無の違いは大きい。補助席有りの車両は本気で狭い。
- 3列シートは好みの座席を指定できることが多い。
- 3列シートなら、仮眠くらいはできる。寝るのが得意な人なら、十分睡眠できる。
高速バスのシート幅・ピッチ
高速バスのシート幅と間隔(ピッチ)は、おおよそ以下の通りです。比較のため、新幹線N700系(東海道・山陽新幹線)のシートも掲載しておきます。4列シートは11列、3列シートは10列です。
座席種別 (横×縦) |
シート幅 (mm) |
シートピッチ (mm) |
---|---|---|
4列×12列 | 440 | 810 |
4列×11列 (4列標準) |
440 | 885 |
4列×10列 (4列ゆったり) |
440 | 960 |
3列×10列 (3列標準) |
465 | 960 |
2列×7列 | 600 | 1,300 |
新幹線普通車 | 440 | 1,040 |
新幹線グリーン車 | 475 | 1,160 |
※出典:高速バス進化の軌跡(和佐田貞一、交通新聞社新書)を改変
4列シート
中央の通路を挟んで横4席の座席配置。通常の観光バスタイプです。値段の安いバスはこの形が多いです。シート幅は440ミリ程度です。
縦は11列が標準ですが、なかには12列の車両もあります。11列のシートピッチが約885ミリ、12列は約810ミリです。
12列は、男性にはどう考えても狭いので、長距離の場合は避けた方がいいかもしれません。事前の座席指定はできないことが多いです。
また、4列シートでは、隣席の人と身体が触れることは避けられませんので、女性は女性同士で隣り合わせにされることがほとんどです。結果として、男性は男性同士で隣ですので、身体の大きい人は要注意です。座席のリクライニング角度は、11列シートで135度程度です。
補助席の有無も確認しておきましょう。何も書いてなければ、補助席がある場合が多いです。補助席有りのバスは左右がさらに狭くなっています。本当に狭いです。
4列ゆったりシート
横4席のシートですが、縦の座席数をやや減らしたもので、10列以下のものを指すことが多いです。
10列のシートピッチは約960ミリで、3列シートと同じです。座席間のピッチが広く、足を延ばせるのが特徴です。車両によってはフットレストやレッグレストが付いているものもあります。座席のリクライニング角度は、140度程度です。
太っている人でなければ、4列シートでも横幅は十分ともいえます。足を伸ばせれば十分快適で、コストパフォーマンスの高いシートといえます。
ただし、隣席に誰が来るかは「運」で、それによって快適度は大きく変わります。女性の場合は、隣も女性にされることがほとんどですから、横幅はそれほど問題なく、それなりに眠れるとの評判です。
3列シート
横2席ペアと1席独立のシート座席配置です。横4列に比べて、座面幅は2~3センチ広いだけですが、肘掛けが左右にしっかりとあるので、ゆったりと使えます。
横3列シートの場合、縦もゆったりしていて、10列が標準的です。シートピッチは約960ミリあり、足元がゆったりしています。座席のリクライニング角度は、140度程度です。
夜行の高速バスではこれが標準型です。トイレが最後部に付いていると、同じシートピッチでも9列になっています。
隣の人と身体が触れ合うことがないので、「運」の影響は小さく、男性でも普通に眠れます。
3列独立シート
3列シートのうち、1席独立が横3列並んでいる場合を「3列独立シート」と呼ぶ場合があります。あるいは、席ごとにカーテンで仕切られたり、半個室状態になったりして、プライバシーに配慮されたタイプです。
とくに「3列独立」と書いてなくても「3列シート」であれば、こうした「独立」である場合も多いです。
「3列」と「3列独立」の使い方は会社によってまちまちで、一定の基準がありません。
2列シート
中央の通路を挟んで横2列シートです。リクライニング角度が約150度程度になるものもあり、フルフラットに近づいています。
運行している路線は限られていて、JRバスの「プレミアムドリーム」(東京~大阪)など、わずかです。価格も東京~大阪が約13,000円ほど、かなり高価です。
シート幅は600ミリ程度で、新幹線グリーン車よりもだいぶ広いです。縦の座席数は車両によって異なりますが、7列配置の場合で、シートピッチは1,300ミリ程度です。座席のリクライニング角度は150度程度です。
非常にゆったりしたシートですが、法令上の制約があり、フルフラットにはなりません。
トイレ付きかどうか?(重要な問題)
トイレが付いてない高速バスは、2~3時間に一度休憩があります。これは、夜行バスの場合、2~3時間に一度車内の電気が点いたり、運転手のアナウンスがある、ということです。
ですから、トイレに行かない人であっても、休憩のたびに目が覚めてしまい、ゆっくり眠れません。「夜行バスでも眠りたい!」という人は、トイレ付きのバスを選ぶべきです。逆に、「サービスエリアでたまに休憩したい」という人は、トイレなしを選ぶのも手かもしれません。
ただし、乗客の要望が増えたのか、最近は、トイレなし夜行バスでも休憩時に点灯・アナウンスをしないことが増えてきました。寝るにはいいですが、気づかずトイレに行きそこねることもあるので要注意です。
女性専用シート
女性客専用の座席が設けられているバスも増えてきました。バス車内の1フロア全席が女性のみの乗車可となっている「女性専用車」と、バスの一部だけを女性専用席として販売している「女性専用エリア」があります。
なお、女性専用となってなくても、4列シートは女性同士が隣になるケースがほとんどです。トラブル防止のための施策です。カップルなどはその限りではありません。
座席指定
座席指定はできるバスとできないバスがあります。4列シートの激安バスでは、座席指定不可の場合が多いですが、窓際か通路側かの希望くらいは聞いてくれる会社もあります。